りんご会代表のあいさつ 2021年
代表理事 西尾 敦史
建築家にして、まちづくりプランナーの延藤 安弘さんが亡くなられたのが2018年。延藤さんの「幻燈会」(スライドでさまざまなまちの縁側を紹介したりする)で紹介していた絵本があります。
「わたしたちのてんごくバス」ボブ・グレアム作、こんなお話です。
ある朝、ステラの家の前に捨てられていたおんぼろバス。近所の人たちがバスを綺麗にし、好きなものを持ち寄り、いつしかそこは彼らにとって居心地のいい「てんごく」な場所となりました。小動物にとっても、大人たちにとっても心地よい場所にとなりました。ステラはバスにらくがきをしたおにいさんたちに、「このえをバスにかいてくれる?」とお願いをし、みんながいろんなものを持ち寄ってきて、みんなにとっての居場所になったのです。しかし、ある日突然レッカー車がやってきてバスを撤去してしまいます。バスを取り戻すため、ステラはゲームに挑みます。ステラたちは、そのゲームに勝って、再びバスを取り戻します。「てんごく」というバスは、近所のあきちのくさはらに戻ってきました。
おんぼろバスがてんごくバスに。一台のバスによって人々の心が一つになるお話です。
りんごの木は、一年ほどの間、南舞岡から離れますが、一年後に戻ってきます。忙しくもなると思いますが、新しいまちで暮らす、新しい道を歩く楽しみもあります。また、離れることで感じられる良さもあると思います。
りんごの木はてんごくバスです。
バスの引っ越しも良い機会として、みんながいろいろなものや思いを持ちより、参加して、力を発揮することで、それぞれの人にとっての居場所にできるといいですね。